広告業界を目指す愛知県下の大学生・専門学校生を対象に、第一線で活躍する3名の講師による実習を交えた2日間の
広告現場を学ぶ実践的な広告ワークショップの第6回(平成30年度)を開催しました。
講座内では、課題テーマを提示し、実際にプレゼンテーションを行うコンペティションを行うなど、
広告業界の"今"を知る広告ワークショップを実施しました。
平成31年2月2日(土)、3月2日(土)、8校の学生が集まり、
愛広協実践広告ワークショップが開催されました。ワークショップの第1講座で課題が提示され、
第2講座で全員がプレゼンテーションを行ってもらうコンペティションを実施しました。
成績優秀者には「AICHI AD AWARDS 2019 学生広告賞」が贈賞されます。
第2講座出席の学生の方22名のプレゼンテーションは、それぞれに素晴らしい提案でした。
3名の講師と1名の審査員の方に審査をして頂き、12名の方が受賞しました。
第6回(平成30年度)
愛広協実践広告ワークショップ―広告を仕事にする
一般社団法人 愛知広告協会
株式会社 新東通信、公益社団法人全日本広告連盟
広告業界を目指す人材の育成を目的とし学生を対象とした広告ワークショップ、講座内では実践的なテーマを提示しレコンペティションを実施する、広告業界の"今"を学ぶ講座の開設
株式会社 新東通信 名古屋本社
第1講座[2月2日(土) 9:50~17:30]
第一三共ヘルスケア(株)1名、クリエーター2名の3名の講師から広告業界の現在の環境をレクチャー、
プレゼンテーション課題を発表。
第2講座[3月2日(土) 9:50~16:00]
学生プレゼンテーション、講評
公開応募による、愛知県下の大学生、専門学校生8校の学生
第1講座:22名
第2講座:21名
第1回講座[2月2日(土)]
第2回講座[3月2日(土)]
大学生(男女)or20代男女へ ブレスラボ を第一選択に
《講師及び審査員》
加室 信/ かむろ まこと
第一三共ヘルスケア株式会社
マーケティング部 広告宣伝グループ長
1994年第一製薬(株) (現 第一三共(株)) に入社。ドラッグストアの営業担当を経て、2007年にしみ改善薬「トランシーノ」の初代ブランドマネージャーとして、プロモーション関係に携わり、日系優秀賞等を製品が受賞。2008年に広告宣伝セクションに移り、TV・雑誌・ラジオ等のクリエイティブ制作やメディアバイイングを担当する。2017年より現職となり、「ルル」「ロキソニンS」「ミノン」といった第一共産ヘルスケアブランド全てのクリエイティブ制作、メディアプロモーション全般を担当している。
株式会社博報堂 ビジネスインキュベーション局
エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表
1967年新潟県生まれ。1990年博報堂入社。アートディレクター、CMプランナーを経て、2005年よりインタラクティブ領域へ。2014年スダラボ発足。同ラボ第1弾「ライスコード」で、アドフェスト・グランプリ、カンヌ・ゴールドなど、国内外で60以上の広告賞を受賞。2015年スダラボ第2弾「トーカブル・ベジタブル」、第3弾「パニックーポン」も、アドフェスト、スパイクス・アジア、アドスターズ、ONE SHOWなど多数受賞。2015年大塚製薬ポカリスエット「インハイ.TV」で、ACCインタラクティブ部門ゴールド受賞。2016〜17年 ACC賞インタラクティブ部門・審査委員長。2017年 東京広告協会「広告未来塾」第1期塾長。著書「使ってもらえる広告」アスキー新書。
株式会社電通中部支社
アートディレクター/クリエイティブディレクター
1973年愛知県生まれ。名古屋のデザインプロダクションに10年在籍し、フリーランスを経て、2008年電通中部支社入社。世界三大広告賞カンヌ・ONE SHOW・クリオをグランプリと金賞で受賞。アドフェスト・グランプリ、スパイクス・グランプリ、グッドデザイン賞、日本おもちゃ大賞等 国内外での受賞多数。カンヌライオンズ、アドフェスト、ONE SHOW等の審査員を歴任。
《審査員》
株式会社新東通信スケッチ 代表取締役
プロデューサー/クリエイティブディレクター/コピーライター
1959年大阪生まれ。 「企業・団体・個人のビジョンを描く」ということをテーマにした「スケッチ」という会社を設立。企業のコミュニケーションにおけるコンサルティング、各種ブランディングを中心にしたクリエイティブ・ビジネスに携わっている。名古屋造形大学「非常勤講師」、名古屋コミュニケーションアート専門学校「教育課程編成委員ほか」、宣伝会議コピーライター養成講座「講師」、学生団体ISIK「顧問」、PRINCESS SAMURAI of JAPAN あいち戦国姫「事務局長」、名古屋ナモ締め「事務局」など。
加室 信
広告宣伝グループ長
「ブレスラボを大学生に!」をテーマに、1ヵ月間広告制作に取り組んでいただきました。ターゲットとなる市場をしっかり調査分析し、課題を抽出、アウトプットに繋げるといった基本ステップをしっかり踏んだ提案にレベルの高さを感じました。そして、抽出した課題は同じでも、アウトプットは多種多様。学生ならではの発想や、あっ!と驚くすばらしいコンセプトやコピー等興味深い作品が数多くありました。
今回のワークショップは、受講生全員がプレゼンテーションを行い審査するコンペティション形式でしたので、広告主という立場から、以下の3つの視点で審査を行いました。
1 ターゲットのココロを動かす力があるか。(「ワクワクする」「楽しい」「共感」)
2 わかりやすく納得できる広告か。
3 オリジナリティやチャレンジが感じられるか。
GRAND PRIXに選ばれた木田有美さんの作品は、「ブレスラボを使ったらこんなにいいよ!楽しいよ!」という生活者ベネフィットを「Breath Love」というわかりやすいコピーで表現し、そのクリエイティブがターゲットの学生や広告展開プランともマッチしたすばらしい企画でした。
SECOND PRIZEに選ばれた富田恵理子さんは、プレゼン力が高く、人をひきつける魅力がありました。調査結果から、ターゲットを学生とその親としたり、学生の大きなイベントでもある就活を題材にしたり、中長期の戦略も盛り込まれた提案で、なるほどね!と納得させられました。
第一三共ヘルスケア賞はブレスラボカラーを身にまとった齋藤日向子さん。そろそろ質を知り始める時期といったこの年頃の考え方や就活生の気持ちをリアルに読み解き、就活生応援アイテムとしての好感アップと、オーラルケアの大切さを同時に伝える広告展開が良かったと思います。
その他にも「50cmの距離」「女性のたしなみ」等のワードや「若者は値段より口コミ」「スマホ口臭」等広告コミュニケーションのヒントとなる提案は、印象に残りました。
「広告を仕事にする」というテーマで取り組んだこのワークショップを通して、広告を
作る大変さ、苦しさ、そして、楽しさ!を皆さんは経験したのではないでしょうか。
「自分のワクワクが、人の(世の中の)ワクワクになる。」それが広告です。
こんなステキな仕事はないですよね!皆さんのこれからが楽しみですし、期待しています。
そして、いつの日か一緒に仕事ができたら最高ですね!
愛知広告協会の実践ワークショップ「広告を仕事にする」は、毎年、本当に須田自身、勉強になっています。普段、会社で仕事をしていても、こんな風にオリエンの深層を紹介してもらえる機会はありません。第一三共ヘルスケアの加室さんには本当に感謝です。そして、様々な思考と模索を1ヶ月やった成果を見せてくれた参加者の皆さまにも感謝。いろんな気づきをいただき、たくさんメモしました。
大きく気になったことを2つだけ書きます。講評の時に白板にリボンの絵を描きました。正三角形が2つ接着したリボン。左が「戦略」で、右が「アウトプット」です。真ん中の交点が「戦いドコロ」。このリボンのバランスが、ほとんどの皆さんが悪かったですね。左が肥大しすぎてて、右が小さすぎた。また、交点が左右の三角形で離れてしまっている人もいました。なぜでしょう?ひとつは「広告のアウトプットの思考や文法」に、まだ慣れていない人が多いのだと思います。これは、慣れと文法学習の問題なので、過去の名作・良作をたくさん見て、写経とかしてみれば次第に身につきます。もうひとつは「広告は見知らぬ人に、説明ナシにただ見せるものだ」という根本的な覚悟が足りてないのかもしれません。ユーザーには「これは、こういう広告です」って説明できませんからね。通りすがりに、ただ数秒見てもらえるか、見てもらえないか、だけです。だから、戦略を熟考した果てに、一瞬で見てわかるものにしておかないと、考えたことそのものがムダになる。それが広告という仕事の残酷なところですし、醍醐味でもあります。大きく2つめ、これは1つめの指摘とも関連しますが「アイデアをどう出したらいいか、わからない」「何も描けないまま、グルグルしてしまう」という講評時にいただいた質問への再回答です。これはとにかく、日々描いて、描き慣れるということにつきます。普段、走ってない人が陸上競技の大会に出て「全然、走れなかった」と言っても、「そりゃ、そうだよね」と言うしかないと思います。課題があろうと、なかろうと。頼まれゴトであろうと、なかろうと。とにかく落
書きをするように、アイデアをドンドン描いてみる。メモと同じように、思いついて描くクセをつける。それが日々の習慣になってしまえば、全然、苦になりません。むしろ描かないと気持ち悪くなります。描いたものが全て採用されて世に出る、なんてことは勿論ありませんが、これは字を覚えるのと同じで、アイデアを考えるのも、それをわかりやすく絵にするのも、日々、描いて身につけるしかないです。これが「嫌な義務」なら、そもそも、この仕事に向かないですし、アイデアを描いて誰かに見せて喜ばれるのは、全然、嫌じゃないどころか、とても楽しいことです。そうやって気がつけば約30年、広告の仕事をして来ました。幸い、紆余曲折ありつつも、嫌にならずに今日にいたります。
今日も、広告の仕事をしています。
第一講座で参加学生のみなさんにお伝えした「これは期間1ヶ月の競合コンペで、アイデアとその定着力を競うもの。一ヶ月後みなさんは私と同じ場所に立って、プレゼンをしなければなりません。私も今緊張して話していますが、皆さんも緊張することでしょう。しかしその経験は将来の大きな糧になります」と。
6年目となる、愛広協学生WSセミナー。私たちが働く広告業界の仕組みを、本番さながらに体験していただくことができる全国でも数少ないWSです。毎年学生の皆さんに、高い水準で学んでいただけるWSを創り出そうと、携わる大人たち全員が真剣にとりくんでいます。
須田さんも、岩田さんも本当に「先生の存在感」たっぷりで毎回圧倒されます。僕も講師なのですが「広告を学ぶ日」にしています。携わるスタッフの皆さんが、意見やアイデアを一生懸命出している姿もかっこいい。その空気を汲み取っていただけてか参加してくださるクライアントの方々も毎年真剣になってくれます。
今年も、加室さんからの本番さながらのオリエン。ブレスラボ開発への熱い想い。さまざまな事例を興味深く語っていただきました。第二講座では、我々広告代理店が競合プレゼンをする際の審査基準も、学生に教えていただいて。講師でありながら身を乗り出して見てしまいました。「なんてアカデミックな場なんだろう」と感じていますし、毎年講評に書いてる気がします。
今年の皆さんの傾向。さまざまなアイデアのヒントがたくさんあった。しかしそれらのヒントをアウトプットまでしっかりつなげられている人は少なかった。惜しい!と心の中で何度も叫んでました。世の中の人は、アウトプットからしか企業の姿勢や考えを感じとってくれない。いくら前段がすぐれていてもそれがきちんと定着していなければ無意味なものになってしまう。ブレスラボを、ブレスLOVEというキーワードで結び、さまざまなLOVEあるシーンに定着させた作品がグランプリとなった。
株式会社新東通信スケッチ 代表取締役
プロデューサー/クリエイティブディレクター/コピーライター
第6回 実践広告ワークショップ講評_岩田正一 今年の特徴のひとつは、例年とは異なる学校の学生の活躍が目についたことです。例年、いい評価を得ている学校の学生のレベルが下がったわけではありません。受賞がなかなかできていない学校の先生や学生の中で、「自分たちも頑張ろう」「受賞作品を分析してみよう」という会話があったことが容易に想像できます。この実践広告ワークショップのよいところは、学校の先生や受講した学生の話から確認ができています。「他校の学生のプレゼンテーションを見て驚いた」「もっと普段からしっかり勉強しなければダメだ」「刺激を受けた」というようなものです。
日々、学校で学んでいる学生が「他流試合」を経験することで目覚めるという状況です。実践広告ワークショップを経験して、学校へ戻ると授業に対する参加の仕方が変わる。そこに、第6回を重ねた取り組みの成果が現れています。学校の外で経験したことがきっかけで、学校の授業への取り組み姿勢に変化が生まれる。こうしたことは、とても大切なことだと感じます。
実践広告ワークショップを続けていくことで、学校、学生、そして、広告業界へ貢献することができると信じてこれからも続けていきたいと感じています。一方で、ひとつの気になる「傾向」も感じました。課題に対して、調べたり、調査をして分析することはみんなよくできていました。そして、その分析から導き出した考え方もできていました。ところが、そこがゴールになってしまっているプレゼンテーションがほとんどでした。課題に対する解決策...そこからが、プランニングでありクリエティブとなります。そこが「不完全燃焼」となっていることが残念でした。すべては「アウトプット」に結びついていかなければなりません。その結果、考え方の整理に時間を使いすぎて、プレゼンテーションにおいても時間が足りなくなる学生が例年よりも多かったように感じます。解決策のアイデアを重視。
それが、次回への宿題と なりました。
木田 有美 名古屋学芸大学
富田 恵理子 日本デザイナー芸術学院
齋藤 日向子 中京大学
岡元 美那海 名古屋学芸大学
森山 あかり 金城学院大学
頓所 まなみ 椙山女学園大学
小川 ひかる 名古屋学芸大学
高木 亜紀 名古屋学芸大学
土田 琴 中京大学
峯苫 瑞樹 広告デザイン専門学校
大和 優花 名古屋学芸大学
山中 信也 専門学校日本デザイナー芸術学院
岡元 美那海 名古屋学芸大学