広告業界を目指す愛知県下の大学生・専門学校生を対象に、第一線で活躍する3名の講師による実習を交えた2日間の
広告現場を学ぶ実践的な広告ワークショップの第5回(平成29年度)を開催しました。
講座内では、課題テーマを提示し、実際にプレゼンテーションを行うコンペティションを行うなど、
広告業界の"今"を知る広告ワークショップを実施しました。
平成30年2月3日(土)、3月17日(土)、12校の学生が集まり、
愛広協実践広告ワークショップが開催されました。ワークショップの第1講座で課題が提示され、
第2講座で全員がプレゼンテーションを行ってもらうコンペティションを実施しました。
成績優秀者には「AICHI AD AWARDS 2018 学生広告賞」が贈賞されます。
第2講座出席の学生の方34名のプレゼンテーションは、それぞれに素晴らしい提案でした。
3名の講師と1名の審査員の方に審査をして頂き、11名の方が受賞しました。
第5回(平成29年度)
愛広協実践広告ワークショップ―広告を仕事にする
一般社団法人 愛知広告協会
株式会社 新東通信、公益社団法人全日本広告連盟
広告業界を目指す人材の育成を目的とし学生を対象とした広告ワークショップ、講座内では実践的なテーマを提示しコンペティションを実施する、広告業界の“今”を学ぶ講座の開設
株式会社 新東通信 名古屋本社
第1講座[2月3日(土) 9:50~17:30]
新聞協会1名、クリエーター2名の3名の講師から広告業界の現在の環境をレクチャー、
プレゼンテーション課題を発表。
第2講座[3月17日(土) 9:50~17:30]
学生プレゼンテーション、講評
公開応募による、愛知県下の大学生、専門学校生12校の学生
第1講座:36名
第2講座:34名
第1講座[2月3日(土)]
第2講座[3月17日(土)]
大学生世代にとりあえず新聞を手に取ってもらおう
《講師及び審査員》
産経新聞東京本社編集局社会部編集委員 日本新聞協会新聞PR部会長
東京都生まれ、埼玉県育ち。1990年産経新聞社入社。記者として、浦和総局(現さいたま総局)、甲府支局、整理部、文化部、社会部を歴任。主に教育畑を歩き、教育班や文部科学省を担当し、第1次安倍政権時には教育再生会議や学習指導要領の改訂などを取材した。東京都内版デスク、大阪府下版デスクを経て、2013年から新潟支局長、2016年から広報室広報・顧客情報グループ長。プレスリリースの配信、SNSを使った広報態勢の構築、NIE(NEWSPAPER IN EDUCATION=新聞を教育に)活動などを推進。2018年1月から現職。
株式会社博報堂 ビジネスインキュベーション局
エグゼクティブ・クリエイティブディレクター/スダラボ代表
1967年新潟県生まれ。1990年博報堂入社。アートディレクター、CMプランナーを経て、2005年よりインタラクティブ領域へ。2014年スダラボ発足。同ラボ第1弾「ライスコード」で、アドフェスト・グランプリ、カンヌ・ゴールドなど、国内外で60以上の広告賞を受賞。2015年スダラボ第2弾「トーカブル・ベジタブル」、第3弾「パニックーポン」も、アドフェスト、スパイクス・アジア、アドスターズ、ONE SHOWなど多数受賞。2015年大塚製薬ポカリスエット「インハイ.TV」で、ACCインタラクティブ部門ゴールド受賞。2016〜17年 ACC賞インタラクティブ部門・審査委員長。2017年 東京広告協会「広告未来塾」第1期塾長。著書「使ってもらえる広告」アスキー新書。
株式会社電通中部支社
アートディレクター/クリエイティブディレクター
1973年愛知県生まれ。名古屋のデザインプロダクションに10年在籍し、フリーランスを経て、2008年電通中部支社入社。世界三大広告賞カンヌ・ONE SHOW・クリオをグランプリと金賞で受賞。アドフェスト・グランプリ、スパイクス・グランプリ、グッドデザイン賞、日本おもちゃ大賞等 国内外での受賞多数。カンヌライオンズ、アドフェスト、ONE SHOW等の審査員を歴任。
《審査員》
株式会社新東通信スケッチ 代表取締役
プロデューサー/クリエイティブディレクター/コピーライター
1959年大阪生まれ。 「企業・団体・個人のビジョンを描く」ということをテーマにした「スケッチ」という会社を設立。企業のコミュニケーションにおけるコンサルティング、各種ブランディングを中心にしたクリエイティブ・ビジネスに携わっている。名古屋造形大学「非常勤講師」、名古屋コミュニケーションアート専門学校「教育課程編成委員ほか」、宣伝会議コピーライター養成講座「講師」、学生団体ISIK「顧問」、PRINCESS SAMURAI of JAPAN あいち戦国姫「事務局長」、名古屋ナモ締め「事務局」など。
私は広告のアマチュアなので、専門的な講評はできませんが、記事を書くことと広告をつくるのは少し似ていると感じました。
まず、人に話を聞いたりデータを集めたりして課題を浮かび上がらせる。その課題を論理的にまとめる、までは同じです。新聞は分かりやすい記事にすればいい(上手で面白い文章や明確な解決策があればベター)ですが、広告は他人に興味を持ってもらえるよう解決策を訴えなければならないのが難しい点でしょう。
全体的に、男子はアプリを作ったり全く新しい新聞を作ったり「三振かホームラン」のような思い切ったアイデアが目立ったと感じました。上手く具体化すると面白いのですが、詰めが甘いものも少なからずあったようです。
女子はヘアサロンや学食に新聞を置いたり、学内に張り出したりと身近な所で手に取らせる仕掛けが多かったと思います。大きな破綻はない代わりに突破力が足りない企画もありました。どちらが良いかはありませんが、それぞれの長所を取り入れたらもっと良いものができると思います。
その中で北川さんの「食べられる新聞」は意表を突いたアイデアだったし、井上さんの「中吊り広告」は人目を引く企画だと思います。山田さんの「記事付きトイペ」はトイレの個室という最も身近な所に置くという目の付けどころが秀逸で、QRコードで新聞社のサイトに飛ばせるという点も評価して新聞協会賞に選ばせてもらいました。
斉藤さんの若者に投稿を呼びかける広告案や板倉さんの「新ブン!」も完成度が高いと感じました。他の皆さんももっと考えたら良くなる作品が多かったと思います。
最後に、クライアントとして学生の皆さんの熱いプレゼンを聞くという貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。愛知広告協会をはじめ関係者の皆様のご尽力に深く感謝申し上げます。
皆さま、課題おつかれさまでした。プレゼンを通して拝見して、気づいたことを以下8点、列挙します。
1.説明の「構文」の問題。_プレゼンの仕方は皆すでに、8割わかっている。プレゼンの作法やページネーションは、完璧にできる。次は、それをどう「崩す」か。
2.定着の「文法」の問題。_コンセプトに辿り着けても、その先の定着がほぼ全員、出来てない。これは広告表現の文法を知らないから。ひたすら過去作を見て、いっぱい試作すれば、わかるようになる。
3.「想像力」の問題。_実施を想像する。広告マン経験がないので、ユーザー側から実施の仕組みを想像する。それで、つながってないところに気づいて、企画を直す。
4.アイデアの良し悪しの判断。_知らない人に アイデアを説明して、「ポカン?」とされるか「ヘェー!」と言われるか。要は、それだけ。
5.「自分ならでは」を、どう装備するか?_他の子との違いを良く見て、ここなら勝てるってトコを探して、とにかく伸ばす。
6.SNS活用は、4マス活用より難しい。_それは「構造」と「ユーザー行動」の両方を理解する必要があるから。皆は今、ただのユーザー。自分がなぜ「そうしちゃってるのか?」を冷静に観察して分析すること。
7.「コレは何なんだ?」と問い続けること。_「割引券」って何だ?なんで割引券で人は動くんだ?そう問うてこそ「アイデア」にたどり着ける。
8.絵がないと、わからないよ。_基本中の基本として字ばかり書いてないで、絵を描くこと。絵がないと、何もわからない。わからないものは、わかってもらえない。描いて、ラフにして、コレわかる?って訊くべき。
とにかく描けば、足りてないところもわかる。描かなきゃ何ひとつ、わからない。描いて自分の頭から外に出して、他人に見せて初めて、イケてるか?足りてるか?がわかる。「広告を仕事にする」ことは、そこから、ようやく始まります。ひきつづき、練り続けてください。
ワークショップに参加してくれた受講生の皆さんが、第二講座でのプレゼン時にくばった制作物を手元におきながら、いま総評を書いています。「昨年のプレでは全くダメだったのに、今年こそリベンジという気持ちで参加した子だよな‥」とか「すごくがんばってるけど、ああ‥この部分から企画がブレてしまったんだな‥」と拝見させていただいておりました。今年の課題は、特に難しかったですよね‥。私たち審査員も、いつもはつくる側にいるのでわかります。第一講座で課題が発表されたあと、数週間後の別のクリエーティブイベントで多くの受講生に会う機会がありました。公平な審査をおこなう為、相談にはのることは一切できませんでしたが、話を聞いていて第二講座でのプレゼンに向けて皆さんが本気でとりくんでいる様子はひしひしと伝わってきていました。そんな中グランプリを受賞したのが、名古屋造形大学の北川くん。「食べることのできる新聞」等の独特なアイデアで、「情報は栄養になる」という切り口からアウトプットまでを、なんとか無理矢理にでも結びつけようとしていた実直な姿勢が良かったです。第一講座でお話させていただいた「課題」と「結果」を設定し、その二つをつなぐ「解決方法」を考えるフレーム。解決方法は、音楽でも、テクノロジーでも、アートでも、言葉でもなんだっていい。大切なのは、人と違うことをすること。世の中から注目や共感を集めて、行動へとつなぐものをつくること。人のことを考え、どんな感情になり、どんな行動に至るのかというところまでをイメージすることが、これからのクリエーティブには求められていくのです。こういったガチンコ勝負のワークショップを経験できることって、人生のなかでも希だと思うので、ぜひ今後に活かしてくださいね。
最後になりますが、このワークショップにご協力いただいた関係者の皆様、本当に素敵な環境をつくってくれてありがとうございました。
実践広告ワークショップは、5回目の開催を終えることできました。広告業界をリードするクライアント側の企業。そして、日本を代表するクリエイター。それを支える広告団体。学生のために、志の高い方々が参加して継続することができています。その想いは、人材の発掘・育成。広告を取り巻く環境が大きく変化している今、広告業界には「危機感」と「期待感」があります。そうした状況だからこそ、学生に「広告の可能性」について実感していただき、広告業界へ飛び込んで来て欲しいという想いで運営しています。その結果、この4年間の参加者からも広告業界の仲間となった元学生が多く生まれました。そして、この実践広告ワークショップの存在がきっかけになったという声を耳にします。大学・専門学校の先生たちからも、他校の学生のプレゼンテーションを見聞きすることで、大きな刺激を受けているという感謝のお話もいただきます。参加する方々に意味のあるものになりつつあることを実感いたします。そんな中、今年の学生たちは、純粋な目で課題を捉えて、個性的な企画を提案してくれました。途中、審査員の方々が、まるで通常の仕事のように真剣な講評をしている場面がありました。真剣に提案をする学生と、それに反応する審査員。 これこそが、この実践広告ワークショップの魅力だと感じました。今回も、グランプリをはじめ、受賞した作品には、素晴らしい視点がありました。もちろん、入賞を逃した作品にもいいアイデアがありました。全体をみていて感じたことは「考えるチカラ」と「伝えるチカラ」のふたつのことです。受賞した学生には、「伝えるチカラ」がありました。それは、ふだんの学生生活の中で身についたものだと思います。こういう機会を経験することで、学校での勉強の仕方に影響が生まれる。より学生生活が充実する。学校と実践広告ワークショップのいい関係がはじまるといいなと強く感じることができました。
日本新聞協会賞
山田ひかる 名古屋学芸大学
企画賞
森 葉月 金城学院大学
デジタル賞
池戸一成 名古屋総合デザイン専門学校
デザイン賞
板倉諄哉 名古屋学芸大学
ダイレクト賞
山口諒子 愛知工業大学
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