「広告を仕事にする」
広告業界を目指す愛知県下の大学生・専門学校生を対象に、第一線で活躍する3名の講師による実習を交えた2日間の
広告現場を学ぶ実践的な広告ワークショップ。
講座内では、課題テーマを提示し、実際にプレゼンテーションを行うコンペティションを実施します。
広告業界の"今"を知る広告ワークショップです。
平成27年1月10日(土)、2月7日(土)、大学・専門学校14校37名の学生が集まり、
愛広協実践広告ワークショップが開催されました。ワークショップの第1講座で課題が提示され、
第2講座で全員がプレゼンテーションを行ってもらうコンペティション
(AICHI AD AWARDS 2015 / 学生広告賞)を実施しました。
第2講座出席の学生の方34名のプレゼンテーションは、それぞれに素晴らしい提案でした。
3名の講師の方に審査をして頂き、7名の方が賞を受賞しました。
第2回(平成26年度)
愛広協実践広告ワークショップ―広告を仕事にする
一般社団法人 愛知広告協会、公益社団法人 全日本広告連盟
株式会社 新東通信
広告業界を目指す人材の育成を目的とし学生を対象とした広告ワークショップ、講座内では実践的な明確なテーマを提示したコンペティションを実施する、広告業界の“今”を学ぶ講座の開設
第1講座:広告主、クリエーター3名より現在の広告業界の環境をレクチャー、
3名の講師と学生とのディスカッションと課題テーマのオリエンテーション
第2講座:学生プレゼンテーション、講評
・片桐 理(かたぎり おさむ)
ライオン株式会社 宣伝部 制作室長
1963年新潟県生まれ。1989年より広告制作部に在籍し、主にテレビ/ラジオCMを制作。2009年より、すべての
広告、パッケージデザインを担う。全日本シーエム放送連盟 理事兼クリエイティブ委員。ACジャパン 東京運営委員。電通賞 審査員。フジサンケイ広告賞 審査員。
・須田 和博(すだ かずひろ)
株式会社博報堂 iディレクション局 シニアクリエイティブディレクター
1967年新潟県生まれ。1990年博報堂入社。アートディレクター、CMプランナーを経て、インタラクティブ領域へ。紙~CM~WEBの全てがわかるCDとしてメディアを問わずコンテンツからサービスまで企画制作。2009年アジア太平洋広告祭・サイバー部門審査員、2010年東京インタラクティブ・アド・アワード審査員。著書に「使ってもらえる広告」(アスキー新書)。
・𡈽橋 通仁(どばし みちひと)
株式会社電通中部支社 クリエーティブ・ソリューション局 クリエーティブ・ディレクター
1973年愛知県生まれ。名古屋のデザインプロダクションに10年在籍し、フリーランスを経て、2008年電通中部支社入社。世界三大広告賞である、カンヌ・ワンショー・クリオをグランプリと金賞で受賞。中部での仕事が世界でも高い評価を受け、国内外のクリエイティブ賞を多数受賞。アジア太平洋広告祭・デザイン部門、ニューヨークフェスティバルプリント部門審査員。
BAFFARIN(バファリン)のコミュニケーション
伊藤翔太 名古屋造形大学
大西絵里加 広告デザイン専門学校
新城ユカリ 日本デザイナー芸術学院
近藤茉結 金城学院大学
宮田朋佳 金城学院大学
村上佳奈 名古屋デザイナー学院
皆様、愛知広告協会実践広告ワークショップお疲れさまでした。今回の課題「バファリン」について、深く考え、仲間内でリサーチし、店頭に足を運んで頂き深 く感謝いたします。東京でも同様の学生向けセミナーに参加しておりますが、「名古屋」のレベルは高い!熱意、プレゼンのスキル・構成の上手さ、見事です。 34名のエネルギーを貰いました。刺激になりました。しかし、可能性のある皆様には「言いたいこと」があります。皆様のプレゼンはカタチは良い、しかし、 「そこにアイディアは有るのか」これを、もっと自問自答してください。妥当性を追いかけるだけでなく、当たり前でない「オリジナリティー」を追求してくだ さい。自分のプレゼンの「一言で言えるウリ」をもっと極めてください。それが、無関心という敵と戦う、最大の武器となり、興味という最大の味方を作り出し ます。皆様の言葉、企画は、もっともっと光輝くでしょう。しかし、「名古屋」はすごい!
誰にでも「わかる」のに、誰にも「思いつけない」ものを、どう見つけるか?
アイデアのコンペを勝つポイントは、それにつきます。
昨日(2015年2月24日)、東京の広告界で働く250人の若者が汐留の電通ホールに集まった「ヤングサイバーライオン日本選向け勉強会」でも、それに関する問いが若い制作者から出ました。質問者いわく、
「ベタな案を捨てるか、捨てないかの見きわめは、どうすればいいんですか?」
グランプリやコンペのウィナーは、意外と「ベタな案」だったりする。自分が案だしした時に捨てた案に近かったりもする。ベタな案を捨てるか、捨てないか迷った時に、どうしたらいいのか?という問い。
広告制作者なら誰でも直面する、この率直で「本質的な問い」に、コンペの審査員団である、電通・菅野薫さん、岸勇希さん、PARTY・中村洋基さん、spfデザイン鎌田貴史さん、須田、そして飛び入り参加の電通・澤本嘉光さんが、それぞれ本気で答えました。
「ベタ案を最高に仕上げられたら強い」「普遍性をふくむ、意表を突くベタがいい」「誰でも思いつきそうな案を、誰も出来ない仕上げにしたら、誰でもわかって誰も見たことないモノになる」「いい作品はベタなものを上手に料理している」など、それぞれの言葉で答えましたが、一番重要なポイントは、この一言だったと思います。
「案は、出すよりも、選ぶ方が難しい。」
では、どうすればいいか?それは、先生や先輩や仲間に「より多く案を見せる」こと。そうすると、自分ではイマイチかな・・・と思っていたハシっこの案が、予想外にウケたりする。より高みを目指すなら、より多く考えて、より高い目を持った先達に、膨大な数の案を見てもらう。そして、同級生やライバルなど、「ひとの案」もより多く見る。広告の歴史を作って来た偉大な先人たちの案である「広告史の名作群」も、より多く見る。
見られるだけ多く見て、自分の中に「アーカイブ」を作る。「いい広告」という自分の判断の基準を磨いていく。そうやってより多く見て、より多くものごとを考えて、コツコツ「広告の基礎体力」をつけ続けた者だけが、やがて勝者になる。それがコンペでも現業でも変わらない真理だ、というのが、昨日の結論でした。あと、もうひとつ、
「パッと見て、一瞬で、わかること。」
日本でも、世界でも、アイデアは出会い頭の瞬間の勝負。その瞬間わかるモノでないと、勝たない。勝ち負け以前に、見てもらえない。これは、シンプルで単純な企画を考えろ、という意味ではありません。複雑なことを考え、複雑な構造のプランニングをしたとしても、相手に見せる時は「絵と、短く強い言葉」で、自分のアイデアの「核心」が一瞬で伝わるようにしておくべし、ということです。
今回の愛広協実践WSの上位入賞者の企画は、どれも全参加者の中で似た案がないものばかりでした。全34者競合で「かぶってない」ということは大変なことです。でも、そこから、ようやく勝負の土俵に上がれます。皆さんが数年後に挑んでいるかもしれない「ヤング・カンヌ・ライオン」でも、他の応募者とかぶったら大幅なマイナス点になります。一方、「かぶらない」ということだけに、発想が囚われると「ニッチな案」になるので、それはそれで大きなコンペのウィナーにはなりません。さらに、「一瞬でわかる」ように絵も言葉も、映像も台詞も、磨けるだけ磨き練れるだけ練っておくこと。この「ツメの作業」に時間をかけるためにも、アイデアを決める判断のスピードを、なるべく速く出来るように、基礎力をつけ続ける。
「広告を仕事にする」ヒトの永遠の姿が、ここにあります。
一生涯かけて、より多く考え、より多く問い、より多く見て、より多く作る。より多くの中から、自分が磨きこんだ判断規準で、これぞ!という1点を選び、世に問う(須田の言葉でいうと「ユーザーにさらす」)。
一見、キツそうに聞こえるかもしれませんが、好きな人にはこんなに楽しい仕事ってないですよ。名古屋で基礎体力をつけて、世界に挑んでください。未来で、待ってます。
ピーンとはりつめた空気の会場の中でセミナーは進んでいきました。
ライオンの片桐さんや、博報堂の須田さんのそれぞれの考え方をこんなにもじっくり聞けて、私自身が色々なことを吸収できる場となりました。
最も驚いたことは、学生の皆さんのプレゼンです。「調べてるし、動いてる」。プレゼンで聞いたアイデアの中には「コレは商品化できるのでは?」と思えるようなアイデアもありました。
このワークショップを受講してくれた皆さんは今後社会に羽ばたいていくわけですが、上司や先輩達は皆さんが思ってる以上に“仕事に取り組む姿勢”を見ています。
仕事への意識が高い人達が多く集まっている場であればなおさら。どこの業界もきっとそうなのでしょうが、徹底的な「努力」を続けてきた人達の目は本当に厳 しい。相手の努力もすぐ見抜けるし、皆さんがどう動くかを冷静に観察しています。特に広告業界のような専門性が求められるようなところでは、それをはっき りと感じ取れます。
しかしその反面、そういった厳しい人達ほど“真摯に仕事に取り組む姿勢”を見のがしません。「なんとか、ひっぱりあげてさらに成長させたい」と思ってくれるのです。私自身、こういった先輩達とたくさん出会えたおかげで今の自分があります。
ワークショップでの2日間は、そんな空気を少しでも感じとってもらえたのではないでしょうか?
受講してくださった学生の皆さんが広告に興味を待ってくれて、私たちの業界に入ってくれることがあればこれほど嬉しい事はありません。
厳しい業界ですが、その分やりがいも大きいです。仕事のテーマも毎回違うので飽きることがありません。
私の場合、広告業界に身を置いてから20年近くたちますが、仕事がどんどん面白くなってきています。
今回参加してくれた学生の皆さんが、いつか私と同じように感じていただける日が来ることを心から願っています!
(P.S 素敵なワークショップの場を提供してくださった関係者の皆様。本当にありがとうございました!これからもぜひ続けてください。応援しています。)